行政代執行とは~空き家問題の対策と費用を不動産コンサルタントが解説!

 

みなさまは「行政代執行」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
これは行政から義務を課せられている対象者が、その義務を行わなかった場合に公権力でその義務を強制的に行うことを指します。

近年では平成27年に施行された空き家対策特別措置法により、特定の条件に該当する対象者は行政代執行の対象となるということで話題になりました。
今回はこの行政代執行について解説していきます。

行政代執行の対象者になった例

行政代執行では様々な人が対象になります。

例えば、露店営業などもその対象になります。
露店を行うには、道路占用許可が必要です。
様々な要因でその許可が打ち切られるケースがあり、打ち切られてしまった場合は立ち退きをしなければいけません。

しかし立ち退きをせずにそのまま営業を行っていた場合は、命令や勧告などが行われます。
その時点で立ち退けば特に問題はありませんが、もし立ち退かずに営業していた場合は行政代執行によって強制収用されることになります。

今は露店営業を例にしましたが、実は一般の人でも対象になることがあります。

公益性を求める行政代執行

例えば、高速道路を建築するのに予定道路内に家があったらどうでしょうか。
その場合は、行政から立ち退き命令がくだされます。
もちろん、タダではなく土地を買取さらに補償金なども出されるため、次に住む場所にはあまり困りません。

しかし長年住んでいた土地を簡単には離れたくないと、立ち退き命令を聞かずに拒否し続ける人もいます。
そういった人も行政代執行の対象になり、強制的に立ち退きが行われます。

このことから政府としては、公益性を最優先に行政代執行が行っていることがわかります。
しかし、前述した空き家対策特別措置法については公益性はあるのでしょうか。

空き家対策特別措置法についての行政代執行

当たり前の話ですが、行政というのは公的機関です。
そのため、行政代執行のようなことが出来るのですが、さすがに個人の持っている空き家を勝手に自由にすることはできません。

空き家は確かに使われず放置されているものですが、それは民間人である所有者がいることには変わりありません。
さすがに個人が所有している空き家を勝手に解体などを行ってしまえば、所有者の財産権を侵害することになり、問題になります。
そのため空き家に関してはいくつか段取りを踏むのです。

放置されている空き家について

空き家対策特別措置法では、放置することで地域の安全や衛生上問題があると判断された空き家を「特定空き家等」と分類します。
この特定空き家等に分類された空き家の所有者に対し、行政は助言を行います。

この助言が受け入れられなかった場合には、指導、勧告といった感じで段階を踏んでいき、それでも空き家が改善されなった場合には、改善命令を命じます。

この改善命令がなされた時点で、所有者は空き家を改善させる義務を負うことになり、この改善命令も受け入れられなかった場合に行政代執行が行われるのです。

行政代執行の法的根拠

行政代執行というのは、行政代執行法で定められています。
空き家対策特別措置法では行政代執行法の定めに従って、行政代執行を行うことが出来るのです。

その行政代執行法では、次の要件を定めています。

・義務者が義務を履行していない
・他の手段で義務の履行を確保することが困難である
・不履行を放置することが著しく公益に反する

空き家対策特別措置法では、特定空き家等に分類された空き家を不履行の対象にしています。
その特定空き家等について改善命令を出しても改善されない、これ以上何を言っても改善することはないだろうと判断されると行政代執行を行うことができるということになります。

行政代執行が行われてしまったら

行政代執行は主に2つの動き方があります。
一つは行政が自ら行うこと。二つ目は行政が第三者に依頼して行わせることです。
家の修繕や解体というのは行政の部門としては存在せず、行政が行うことは不可能なので、第三者の解体業者に依頼することになります。

この際に業者に払う解体費用は行政が支払うことになりますが、その支払いを空き家の所有者から徴収することになります。
つまりは最終的に所有者負担での解体を行うということです。
所有者としては、自分の持っている空き家を勝手に解体されて面白くないわけなので、払いたくない人というのは多いでしょう。
しかし行政は所有者からキチンと徴収する方法を考えています。

行政代執行は国税と同じ扱い

行政代執行法には「代執行に要した費用は、国税滞納処分の例により、これを徴収することが出来る」と定められています。
つまり、行政代執行の費用は国税と同じ扱いを受けているので、支払われないと国税滞納と同じ処分が下されることになります。

つまりは空き家の解体費用を支払わないと、何度が催告状が届き、最終的には最終通告書のようなものが届きます。
それでも支払わなければ、職権により財産調査がされて、口座の凍結や差し押さえと言った強制徴収がされるのです。

しかし、これはあくまで所有者がいる場合の話です。
現在では相続放棄などで所有者がいなかったり、所有者が既に亡くなっている物件も少なくありません。
その場合はどうなるのでしょうか。

所有者不明の空き家について

所有者が不明の空き家についても行政代執行を行うことが出来ます。
この場合は、キチンと所有者の調査を行ってそれでもいなかった場合に限り、行うことができ、多少調査して所有者がいないと判断されただけでは行うことはできません。

不動産というのは登記簿謄本、もしくは固定資産税の課税台帳で所有者を確認することが出来ます。
しかし空き家というのはそこに誰も住んでいないから空き家であって、住民票の移動等がない限りは現在の所有者がどこにいるかは分かりません。
そうなってくると、所有者不在のまま行政代執行を行うことになり、その費用を行政が肩代わりすることになるのです。

所有者が亡くなっているケース

もし、所有者の特定が出来たとして、その所有者が亡くなっていた場合はどうなるのでしょうか。
基本的に相続が発生するので、相続人がいる場合はその人が所有することになります。
しかし相続した物件の登記というのは義務付けられておらず、被相続人の所有のままの登記も相当数あると考えられます。

その場合は、亡くなった所有者の個性気を調べ、相続人を調べることになります。
しかし、子供が複数いるなどの場合には相続人もまた複数いることになります。
そうなってくると誰が相続したのかは戸籍を調べるだけでは分からないので、相続人から事情聴取をすることになります。

どうしても相続人が特定できなかったり、相続人が不在であると分かった場合には行政はどうすることもできなくなるので、行政負担で行政代執行を行わなければなりません。

行政負担の解体

家の解体というのは、当たり前ですが多大な負担がかかります。
大体木造の建物で坪2~3万円が相場になっています。

田舎の物件というのは関東の都心などに比べる大きな家が大きく、解体費が100万円をこえることもあります。
そこまでの解体費用を行政が支払うことになるため、小さな都市の行政や村単位の行政では多大な負担となってくるのです。

そのため空き家対策特別措置法は小さな地域ではほとんど進んでいないのが現状です。
特に田舎などの地域では、売ろうにも売れない空き家が多く相続放棄する人がたくさんいます。
そのまま放置してしまえば周辺に害虫被害や、害獣被害が起きる可能性があり、行政代執行の対象になります。

しかし行政としては、多大な費用をかけてまで家の解体をすることが出来ず、積極的に解体することが出来ないのです。
それが問題となり、現在でも小さな地域では空き家対策特別措置法があまり機能していないのです。

行政代執行の対象にならないためには

空き家の所有者が行政代執行の対象にならないためには主に三つの方法があります。

一つは空き家を定期的に管理することです。
掃除などを定期的に行うことで、家の老朽化を防ぐことを目的とするものですが、それでも古くなった建物というのは家の倒壊の危険性もあるため、特定空き家等に分類されかねません。

そこで、二つ目の売却という選択肢が考えられます。
土地を含めて家を売却することで所有権を移転すれば、行政代執行の対象から逃れることができます。
しかし田舎のほうでは不動産の動きが鈍く、タダ同然の価格で売ろうとしても売れないケースが多々あります。

そこで三つ目の解体という選択肢が出てくるのです。
行政代執行の対象になる前に解体するという方法ですが、行政代執行でも解体されるので、どちらにしろ同じことだと思うかもしれません。

しかし行政代執行の場合は、支払わなければ財産の差し押さえをされるというリスクもあります。
支払うつもりでも支払いを忘れてしまえば、差し押さえられてしまうので、その前に自分で解体したほうが精神的にも楽でしょう。
さらに自分で業者を探すことにより、解体費用を少しでも安くすることができるというメリットもあります。

まとめ

いかがだったでしょうか。
行政が行う行政代執行は、強制力があり所有者がいくら頑張っても執行されます。
法律により取消訴訟を起こすことが可能ですが、特定空き家等に分類されるほどの損害を受けている空き家に公益性など皆無のため勝てる見込みはないでしょう。

それを防ぐためにも、空き家の所有者は空き家を売却したり、解体したり、もしくは賃貸として貸し出すなどの対策を行わなければなりません。

それを面倒だと感じて放置していると、行政代執行が行われ、高額な解体費が請求されてしまうのです。

自分の所有している空き家が特定空き家等に分類されてしまったら、速やかに改善、解体することが一番早い方法だと言えるでしょう。

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