田舎の土地というのは便利な都市部から離れた土地として、立地上の悪さから中々売りづらい土地です。
価格も都市部に比べ非常に低く、中には数十万円台で売られているケースもあります。
しかしそれでも売れないケースも多く、最終的にタダ同然の価格まで落として売買したケースも数多くあります。
そんな田舎の土地はどうして売れないのでしょうか。
今回は田舎の土地の売れない理由と、売る方法について解説していきます。
もくじ
田舎の土地の特徴
土地というのは立地状況で価格が決まるものです。
そのため駅から徒歩数十分などが多い田舎の土地では、いくら整備されていようが、いくら栄えてようが立地が悪いと判断され、土地価格は低くなります。
その立地状況を変える術はなく、立地の問題は諦める他ありません。
他にも田舎の特徴がありますので、それをキチンと把握しておきましょう。
・広大な土地

田舎というのは住宅同士が近くに距離にあることが珍しく、都会の住宅に比べ、土地が広い傾向にあります。
例えば、東京都など栄えている土地では10坪から家が建ちますが、田舎のほうでは最低でも50坪程度の広さがないと需要がなかったりします。
100坪近い土地も珍しくなく、その場合は分筆して土地を分割することも考えられます。
しかし前述したように、土地柄によって最低の土地の広さがあるため、その付近の土地では最低50坪なければ需要がないと言った場合には分筆すると逆に需要がなくなってしまう場合があります。
そのため、自分の所有している土地の大きさと付近の需要がある土地の大きさを調べ、比較することで、分筆するかしないかを判断することができます。
・アクセスの問題

田舎の地域というのは交通網が発達しておらず、電車やバスでの移動が難しい場合があります。
バスは一時間に一本から二本、電車は時間帯によっては二時間以上来ない地域もあります。
なぜ交通網が発達しないかというと需要がないというのが一番の原因です。
基本的に田舎の地方に行くと乗用車での移動がメインになるため、電車やバスを利用する人が少ないのです。
そのため、アクセスが悪く集客を目的とする土地の用途には向かず、例え町おこしなどをしようとしても、現状人が集まりにくいのです。
・スーパーなどの店舗の問題
上記の要因から集客を目的とする店舗は田舎に出店しづらく、店舗数も非常に少なくなります。
スーパーまで歩いて15分や20分は当たり前で、身近にあるコンビニがスーパー以上に遠いケースも珍しくありません。
都会に住む人からは信じられないような不便さがあるため、外から人が移住しづらく需要がほとんどないのです。
・ライフラインの問題

電気やガス、水道などのライフラインから、インターネット回線や電話回線に至るまで、田舎のほうは整備が遅れています。
特にインターネット回線は現在に生きる人にとってはほぼ必須な要素になってきていますが、auやソフトバンクなどの大手電話会社の電波が入らない土地も多く、特定の電話会社しか電波がないという地域もあります。
また、ライフライン関係にしても古い家が多い田舎のほうでは、都市ガスが引かれていなかったり、近くに水道が埋設されていないような土地もあります。
家を建てる場合は都市ガスがなくてもプロパンガスを代用することは可能ですが、水道は必須のため、水道を引く工事をする必要があり、その費用も支払わなければいけません。
・市街化調整区域の問題
土地というのは市街化区域と市街化調整区域とに分けられており、多くの田舎の土地が市街化調整区域に当たります。
市街化調整区域に該当する土地には新たに建物を建てることができません。
現状、建っている家というのは基本的に市街化調整区域が定められる前に建てられたものであり、この古い家を活用するためには増築もしくは建替えでしょう。
しかしその状態でも条件が決められており、それをクリアしなければ増築も建替えも出来ないのです。
その条件に付いては役所に問い合わせをすれば聞くことができるため、売り出す前に問い合わせをしておきましょう。
田舎の家や土地を売る方法
田舎の家というのは立地的な意味でも価値が少なく、需要も限られるため、非常に売れにくいものです。
しかし、まったく売れないわけではなく、工夫をすれば売れるケースも多くあります。
それでも都会の土地のように購入希望者が殺到するわけではないので、注意しましょう。
・欲をかかずに安めの金額にする

田舎の不動産を売れるかどうかの決め手はやはり価格です。
どれだけ立地が遠い場所でもどんなに古い家でも安ければそれだけ人の目に留まり、注目されます。
「昔はこれだけの金額で購入したから、最低限でもこの価格で・・・」といって価格を決める人は確かにいますが、大多数のケースではそれでは売れません。
絶対に売りたいと思うのであれば、適正価格よりも安く設定しなければいけません。
そもそも田舎の土地というのは不動産流通量が極端に少ないため、過去の売買事例が数年前や10年以上前のケースも少なくなく、それでは相場というのは決めることが出来ないのです。
ならば路線価で決めようと思っても路線価ベースの価格では高すぎて購入者が現れません。
そのため区切りのいい100万円や200万円で設定し、数ヶ月経っても売れなければ数十万円、場合によっては10万円以下で売り出す必要があります。
事実、京都で駅から徒歩40分以上離れていてスーパーなど近くにないような物件を10万円で売った経験があり、そこまでしなければ売れないのが田舎の土地というものです。
しかしそれで売れるケースは運がいいほうで、10万円でも売れないケースも多々あります。
特にこのケースで多いのが過去に別荘地として人気を博した軽井沢などの土地で、今ではほとんど需要がなく売ろうにも売れない状況が続いています。
土地によっては1万円で売り出しても売れなかったり、地元の不動産にはタダでも欲しくないといった答えが返ってくることも少なくありません。
その場合は多少工夫する必要があるのです。
・しっかりと管理して出来るだけ綺麗な状態で売る

もし、価格を限界まで下げても売れない場合は、現在の状態をきれいにするのも手です。
例えば土地に雑草が伸びていたり、木が生えている場合はあまり印象が良くなく、買い手も敬遠します。
家に関しても長年放置していると、埃や汚れが目立つようになり、不衛生なイメージを与えてしまいます。
それを払しょくするためにも、多少費用をかけて土地をきれいにしたり、家をクリーニングしたりして、ネット上で出す写真をなるべく清潔感あふれるものにしましょう。
しかし、自宅から物件まで遠いというケースもあるかと思います。
そういった場合は地元の管理サービスを行っている業者に頼み、清掃を行ってもらうようにしましょう。
もちろん、売買価格に反映させて多少価格を上げることもできますが、出来るだけ売買価格を上げないほうが売れる可能性は高いです。
それでは売っても費用の関係でマイナス収支になるのでは?と不満に思う人もいるでしょう。
しかし不要な不動産というのは早めに売ったほうが将来的にもいいのです。
・物件を売ることで税金を支払わなくて済む
田舎の物件というのは、いくら売買価格が安くても評価額が高い場合があります。
例えば、10万円の物件でも評価額が1000万円近くするケースもあり、その場合は固定資産税がかかるものです。
そのため、毎年固定資産税が数千円から数万円かかるため、この状態が仮に10年続くと数万円から数十万円の税金を支払うことになります。
さらに自分がもし亡くなってしまって、子供に相続する際にも相続税が取られる可能性があり、子供にも余計な税金をかけてしまう可能性があります。
このように不要な不動産を持っているだけでも将来的な損失が起きるため、多少の損をしたとしても、費用をかけて清掃を行い、安い価格で売ったほうがいいのです。
・不動産屋に依頼するのもいいが・・・
基本的に不動産を売却したいと考えたら、不動産屋に仲介を依頼することを考えるでしょう。
しかし田舎の土地というのは不動産会社からすると、仲介手数料を多く取ることが出来ず、取れたとしても数千円程度です。
そのため、不動産会社側の利益がほとんどなく積極的に動いても損にしかならないため、あまりやる気がありません。
不動産会社では依頼を断るところも当然出てくるでしょう。
しかし全国的に田舎の物件を取り扱っている不動産会社もいるので、そういった専門的なことを行っている会社に頼むのが一番いいです。
それでも早い段階で売れるとは限らないため、田舎特有の横の結びつきを使って、知り合いなどに相談するのも手です。
・空き家バンクに登録してみる
空き家の増加は近年問題視されており、平成27年には「空き家対策特別措置法」が制定され、国が空き家問題の対策に本格的に乗り出してきました。
現状、放置されている空き家については行政が干渉できるようになり、売れずに放置していると、行政からの指導が入る可能性があるので、何とかして空き家を活用したいものです。
そこで自治体やNPO法人などが登録して仲介を行う「空き家バンク」というものがあります。
この空き家バンクは田舎の家や土地を売りたい時に、購入希望者を探してくれるサイトであり、これは不動産会社に依頼するよりも購入希望者を探しやすいということで、数年前から注目を浴びています。
もし、田舎の自治体がこの空き家バンクに登録されて居たら、ここに登録して購入希望者を待つのもいいでしょう。
まとめ

前述したように空き家問題は年々深刻化しており、空き家対策特別措置法についても施行されたばかりのため、特に田舎の行政がほとんど活動できていないという現実があります。
しかしいずれは本格的に活動することを考えると一刻も早く売却して肩の荷を下ろしたいものです。
そのためには需要の少ない田舎の土地をどう売るのかが問題となり、一筋縄ではいかないでしょう。
それでも価格の問題や現況の問題をクリアすれば、売却できる可能性は上がっていきますので、将来的な税金のコストを考えても、多少の損を覚悟で売却活動を行うほうがいいでしょう。

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