民泊とは~2017年現在での問題点やトラブルを不動産コンサルが解説

民泊とは~トラブルや問題点、空き家を活用した民泊について

2020年の東京オリンピックが決まってから、オリンピックを狙って急激に民泊が増えてきました。
そもそも民泊とは民家に泊まることの総称であり、広義的に言えば金銭のやり取りは必須ではありません。

しかし民泊ビジネスが流行ってきており、外国人旅行者などを中心に知らない人を有償で泊まらせるようになっていきました。

こうして民泊という定義が多様化してきた結果、法規制が敷かれるようになってきています。
今回はこの民泊について、問題点などを解説していきます。

民泊とホテルの違い

そもそも民泊とホテルなどの民宿の違いは何でしょうか。
民宿は法律上の定義や細分化はされていませんが、簡易宿所営業ではホテルや旅館以外での宿泊料を受けて人を宿泊させる営業のことを指しているようです。

民宿では小規模かつ、小さな戸建てを宿泊客用に整えたものが多いようです。

民宿では、仕事として宿泊用の設備を整えているため、普通の民家ではありません。
それを修復や修繕などに充てるため、営利目的とされ旅館業法の規制を受けることになります。

しかし民泊は違います。民泊では必ずお金を払ってもらう必要はなく、ホテルなどを探せない旅行者など近くにある家に頼んで泊まらせてもらったりします。
その時に謝礼を受け取ったとしても、営業活動には該当しないため、旅館業法の規制を受けないのです。

このように、ホテルや民宿などは営利目的としてお金をもらっていますが、民泊では営利目的として謝礼を貰っているわけではないので、旅館業にはならないのです。

田舎体験などは民泊に入るのか

最近では田舎暮らしが流行ってきており、田舎体験ツアーなどが増えてきています。
そしてその際に古い空き家を改築して、人々を泊まらせるサービスを行っている自治体があります。

ツアー代金に宿泊料も入っているから、民宿ではないのかと思うかもしれませんが、民泊量を体験料などの名目で処理しているところでは注意が必要です。
確かに民泊の宿泊料として計上されているのなら旅館業法の中の民宿に入ります。

しかし体験料などの違う名目で計上しているのなら、民宿にはならず民泊になるので、旅館業法には含まれることはありません。
そうすれば、旅館業法の細かな規制を受けずに営業できるとして、最近では問題視されています。

これと似たケースで、農村漁村で宿所を提供する場合は、民宿としての宿泊が認められています。
農村漁家体験民宿の場合は、客室の広さがの33㎡以上に定義されています。

この規制緩和によって、農林漁業者なら農林漁家体験のための民宿を営業できることから、地方での開業者が増えています。

民泊ビジネスについて

2020年の東京オリンピックが決まったことにより、東京都内や関東周辺で民泊を開業するケースが非常に増えています。
最近では民泊のマッチングサービスも増えてきており、日本では1万軒をこえた民泊が登録されています。

日本へ旅行に来る外国者数

現在、日本へ旅行目的で来る外国者の数は、一月で200万人を超えるようになりました。(2017年6月分統計で約230万人)
2016年の年間旅行者数は2400万人を超えており、政府の観光立国推進基本計画では平成28年で1800万人だという予想を遥かに超えている数字となっています。

日本へ外国人旅行客がたくさん来るのは喜ばしいことですが、それと同時に懸念されているのが宿泊施設の不足です。

現在の宿泊施設状況

観光庁の調査によれば、平成21年時で日本国内の延べ宿泊者数は3億人程度で、そのうちの外国人旅行者の数は7%前後と少ない数字でした。

しかし平成22年から宿泊者数が増えていき、平成28年度調査では国内の延べ宿泊者数は約4億9000万人、外国人の宿泊者の数は7000万人に近づいているなど、今までにないレベルで急増しています。
これほど宿泊者が急増すると、宿泊施設の稼働率も上がります。

平成28年の客室稼働率は全体で59.7%となっており、その中でもビジネスホテルが74.4%、シティホテルが78.7%と非常に高い値を出しています。
その中でも稼働率が一番高い東京都では全体の稼働率が78.8%、ビジネスホテルが83.3%、シティホテルが80.8%とどの宿泊施設も非常に高い値となりました。

宿泊者数は年間15%前後と非常に高い割合で増加していっており、少なくともオリンピックが終わるまでは増加し続けるとみられています。
そのため、宿泊施設不足の問題が出てきているのです。

民泊ビジネスの重要性

この急増する観光客と宿泊施設不足で注目されているのが、民泊ビジネスです。
民泊提供サイトに載せて、手数料を支払うだけで運営できるため、コストがかからないという特徴があります。

民泊として始めるのなら、自分で所有しなくても賃貸物件を使うことが出来るので、固定資産税などの余計なコストをかけることなく始めることができます。

例えば月15万円の部屋を借りて、観光客向けに一泊数千円で貸すことが出来れば、7~8割稼働で採算を合わせることができます。
そのため低コスト高利回りなのです。

通常のビジネスホテルでは1室借りるだけで1万円近くの料金がかかりますが、民泊ならばビジネスホテルよりも広く、一部屋で数人泊められるので外国人旅行者にとってはありがたいのです。
現在東京オリンピックを見据えた、ホテルの建設は至る所で行われていますが、土地は無限に出てくるわけではなく、ホテルもすぐに建つ訳ではありません。

その点、民泊の場合は持ち家を使ったり、賃貸物件を使ったりと比較的自由に出来ます。

空き家を使った民泊

現在、空き家問題が世間で囁かれていますが、そんな空き家を民泊に使用できるのではないでしょうか。
特に観光客が多い地方では、空き家を民泊として活用することで、コストの削減と観光客を呼び込むことにもつながるかもしれません。

しかしそこにもいくつかのリスクやクリアーしなければならない問題も出てくるのです。

民泊のリスク

前述しましたが、外国の人が全ていい人ばかりとは限りません。
家を壊してしまったり、物がなくなったりとトラブルが起きる可能性もあります。

さらに、民泊と貸し出していた家で事件や事故が起きてしまうと物件としての価値が下がってしまい、売ることも民泊として活用することもできなくなるといったリスクも考えられます。
民泊仲介事業者の中では保証をつけているところもありますが、いずれにしろ予想できないトラブルというのは起きるものなのです。

周辺住民への配慮

さらに地方で民泊を行うとなると周辺住民への理解が何よりも大事です。
色々な人たちが入れ替わり立ち替わり出入りする家というのは、やはり怖いものです。

外から来た人を警戒してしまう可能性もあり、それによるトラブルも起きかねませんので、あらかじめ周辺住民への理解を得られてから行うようにしましょう。
これを怠ってしまうと、自分への住民からの評価が下がってしまって、信頼問題にまで繋がってしまいます。

こういった問題と、金銭的リスクを理解し、それでも民泊を行いたいのであれば参入してみるのもいいかと思います。
しかし民泊は確実に稼げるものではなく、損をする可能性も少なくありません。

そのため、慎重に考えてから決定するようにしましょう。

民泊の問題点

外国人旅行者に家を提供する際に気を付けなければならないのが、価値観の違いです。
よく聞くトラブルは、宿泊者が部屋のものを盗んでいく、部屋に汚れや穴など酷い状態にして何も言わずに帰るなどです。

日本人はマナーがいい国と言われており、基本的にはそのようなことはしません。
しかし他の国では価値観の違いから、そのようなことをする人も少なからずいます。

その他にも様々な問題点があるのです。

部屋のトラブル

民泊ビジネスを行う際に賃貸物件がよく使われます。

賃貸物件で民泊を行う際は転賃や又貸しなどと言われ、多くの賃貸物件では転賃を禁止しています。
これは前述したように、貸した人以外の人が何らかのトラブルを起こした際に、責任の追及が困難になってしまうからです。

そのため、民泊の場合は所有者が転賃を許可していない限りは、基本的に民泊を行わないようにしなければなりません。
また、転賃を許している場合でも、知らない人が高頻度で入れ替わり立ち替わりで出入りしているという光景は、周りの住人から不安感を抱かせてしまいます。

そのため、隣人トラブルなども発生しやすいのです。

旅行業界の反発

民泊ビジネスは成功率も高く、参入者も多くいます。
そうなってくると面白くないのが旅館業界です。旅館業界は民泊とは違い、防災や衛生面、安全面などの厳しい条件を高いコストをかけることでクリアーしています。

そんな旅行業界が手軽に始められて、旅館よりも安い民泊が増えていくのは楽しくはないでしょう。

さらに現状民泊は法律上グレーゾーンの旅館業です。
正式な許可を受けていない民泊が広まっていくのは旅館としては、当然許しがたいものです。

しかしそういったトラブルを防ぐために2017年6月に新しい法律が成立しました。

民泊のための法律、民泊新法について

民泊新法とは、2017年6月9日に国会で成立された民泊に対する法律です。
これは民泊に関わる一連の事業者に対し、適正な運営を促しつつ、国内外からの宿泊者に対応するために成立された法律です。

民泊事業者と民泊運営代行会社、民泊の仲介業者の3つの事業者に対して一定の規制などがかけられます。

民泊事業者

民泊事業者は都道府県知事に対して「届出」をすることになりました。
内容は下記のようになっています。

・商号、名称又は氏名、住所
・住宅の所在地
・営業所又は事業所を設ける場合は名称と所在地
・管理業務を委託する場合は、委託先の商号
・図面の添付

さらに業務に関して、一定のルールを設けることになりました

・一年間の営業日数の上限は180日
・各部屋の床面積に応じた宿泊者数の制限
・非常用照明器具の設置、避難経路の確保、災害時の安全確保
・宿泊者名簿
・外国語による施設案内及び交通案内
・周辺地域へ配慮をすることの外国人観光客に対する説明
・周辺住民からの苦情などに対する迅速な対処
・住宅に口臭の見えやすい位置に国が定めた様式の標識を設置
・宿泊日数の定期的な報告

このように細かく設定されています。
一番の焦点が一年間の営業日数の上限であり、この上限を定めることで民泊と旅館等の価格差を広げないようにしています。

さらに民泊事業者は、適正な民泊運営のために必要があると認められる場合は、行政職人が立ち入り検査をする権利が付与されています。
つまり、業務のうちどれかをおろそかにした場合は立ち入り調査の対象になる可能性があるということです。

民泊運営代行会社

民泊運営代行会社は民泊事業者から委託を受ける会社のことを指します。
この会社は国土交通大臣の登録を受ける必要があります。

この登録に必要な手続きは下記のようになっています。

・登録は5年ごとに更新
・登録時には登録免許税を支払う
・商号、名所及び氏名、住所
・営業所又は事業所の名称及び所在地

この民泊運営代行会社は、法律が施行されると一般公開されるため、登録していない代行会社はすぐに分かります。

この民泊運営代行会社にも下記のようなルールが制定されました。

・名義貸しの禁止
・誇大広告の禁止
・管理受託契約の締結には、書面の交付を行う
・管理業務すべての再委任の禁止
・従業員に対し、登録業者である証明書の携帯の義務付け
・営業所又は事業所ごとに国が定めた様式の標識を掲示

このほかにも民泊事業者と同じく、行政職員による立ち入り検査権限が付与されるので、著しく業務から遺脱した行為は、立ち入り調査の対象となります。

民泊仲介事業者

これは民泊の仲介業者に対する物です。
一番の大手はAirbnbというサイトで、世界中の民泊事業者が登録しています。

この事業者が民泊新法が施行されると「住宅宿泊仲介業者」とされ、観光庁長官の登録を受ける必要があります。

住宅宿泊仲介事業としての登録手続きは下記のようになります。

・登録は5年ごとに更新
・登録時には登録免許税を支払う
・商号、名所及び氏名、住所
・営業所又は事業所の名称及び所在地

民泊運営代行会社と同じ登録を求められます。
現在最大手のAirbnbも登録必要があり、既存の仲介サイト全てが対象となります。

それでは住宅宿泊仲介業者のルルールを下記に記していきます。

・名義貸しの禁止
・宿泊者と宿泊契約「住宅宿泊仲介契約」の締結に関して、住宅宿泊仲介業約款を定め、実施前に観光庁長官への届出が必要
・宿泊者及び民泊事業者から受け取る手数料の公示
・宿泊者との宿泊契約締結時に、書面の交付による説明
・営業所又は事業所ごとに国が定めた様式の標識を掲示

二番目の「住宅宿泊仲介契約」については、官公庁が標準住宅宿泊仲介業約款を定めた場合や同一のものを使用する場合は届出は不要になります。
民泊新法では、国内に拠点を持つ事業者と海外に拠点を持つ事業者では少し違い、国内の場合は業務の改善や停止命令を求めることができます。

海外業者の場合は、請求となります。

民泊新法に違反した場合は

民泊新法に違反した場合は、当然罰則があります。
主な末席は以下のとおりです。

1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金

これは民泊運営代行事業者と、民泊仲介事業者に対する罰則になります。
例えば無登録で事業を行っていたり、不正な手段により登録を受けると罰則の対象となります。

6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金

こちらは民泊事業者に対する罰則になります。
虚偽の届出をしたり、上限営業日数の超過などをすれば対象になります。

民泊まとめ

近年では様々なビジネスモデルが開発されており、従来ではビジネスの対象ではなかった民泊もビジネスとして運営しているところが増えてきました。
その手軽さから自由度が高く、今までも無法地帯のようなものだったのが民泊新法によって規制がかけられるようになります。

まだ正式に施行されていないので、どの程度の抑止力になるかは未知数ですが、民泊新法によって民泊が正式なビジネスの対象になりました。

これが空き家問題を解決する一手になるのかどうかを注目していきたいところです。

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