農地の固定資産税の目安~免税や軽減する方法を不動産コンサルタントが解説

 

農地の固定資産税は宅地などに比べて安く、年間にかかるコストも低いため、農地が放置され遊休農地になっても対策をしない人が多くいます。

しかし農地の固定資産税を高くしても、耕作しても大きな利益は生まないし建物なども建てることができない土地なんて必要ないということで、今度は相続放棄をして所有者不在の土地が増えてしまいます。

今回は農地の固定資産税の現状と問題について解説していきます。

農地について

農地の固定資産税を計算する際には、現況主義という考え方によって行われます。
これは例え、登記簿謄本では農地であったとしても農地として使われていないと判断されれば、宅地と雑種地と同様に評価額を計算する方法です。

そのため農地として税金を計算してほしい場合は、何かしら営農する必要があり、放置していると税金が高くなる可能性があるのです。

農地法の存在

農地法とは、農地がこれ以上少なくならないためにあるような法律です。
人間というのは必ず食料を必要とします。

しかし輸入などが主流になってきた現在では、国家の自給率は40%を切るまでに下がりました。
第二次世界大戦直後の自給率が70%を超えていたことを考えると、たった50年で農業がいかに低迷したかがわかるかと思います。

農地転用などもあり、農地は年々減ってきており、このままでは自給率がどんどん下がることでしょう。
政府としてはそれを食い止めるために、農地転用の出来る農地を制限したり、農地を営む気がないのに農地を購入すると言った行為を禁止しています。

そして食料自給率を立構えるためにも、農地の確保と耕作者の確保を目的とし、農地法で厳しく規制をつくっているのです。

では、その耕作者の確保のために固定資産税を安くしているのかと言われれば、そうではありません。
農地の固定資産税が安い理由というのは、さらに根本的な問題があるからなのです。

農地の固定資産税について

農地の固定資産税は市街化区域外にある農地と、市街化区域内にある農地とで評価方法も課税方法も違っていきます。

最初はそれについて紹介していきます。

市街化区域外の農地

市街化区域外の農地は、一般農地とも呼ばれ市街化区域内にある農地とは区別されます。
そんな一般農地の評価方法は「農地評価」と呼ばれるもので決定されます。

農地評価とは農地利用を目的とした売買実例価格を基準として評価する方法です。
農地というのは売買実例価格自体非常に低いため。一般農地の固定資産税は総じて低い傾向にあります。

税額も10アールごとに千円~数千円となっていることを見ると、非常に安いと言えるでしょう。

市街化区域内の農地

市街化区域内の農地は、「生産緑地」、「一般市街化区域農地」、「特別市街化区域農地」の3つに分けられます。

生産緑地は一般農地とほぼ同じ扱いを受ける土地です。
そのため、一般農地と同じく売買価格を参考に評価額が求められます。

売買価格というのは純粋に農地として取り扱った場合の売買価格に当たり、例えその土地が農地転用などの付加価値で実際の売買価格が高いものであっても、そういった状況から離して計算します。
そのため、評価額は売買価格を下回り、安い税額になるのです。

一般市街化区域農地とは、市街化区域内にあり、農地でも将来農地転用し宅地になる可能性のある農地のことを指します。
そのため、固定資産税の評価額も宅地とほぼ同様になり、高くなるのが特徴です。

しかし現況が農地では宅地として評価はされず、評価の仕方は机上の計算に頼ることになります。
宅地化するための仮想的な造成費を計算し、宅地評価から控除する方法で行うのです。

この計算を行うことにより、宅地よりも多少低いが、農地としては異様に高い評価額になるのです。

しかしこれでは農地として扱うにはあまりに高い税金を支払わなければいけなくなります。
そこで一般市街化区域農地に関しては軽減措置があります。

まず課税標準額を1/3にし、都市計画税があるのならそれを2/3にします。
この軽減措置に関しては、実際に営農している必要があり、放置している農地に関しては軽減措置の対象にはなりません。

さらに農地に準じた課税を行うことにより、宅地よりも安い標準額にすることができるのです。
しかしそれでも一般農地などに比べたら、標準額は10倍以上高くなっており、農地としては異様に高い税額になるのです。

特定市街化区域農地

特定市街化区域農地は市街化区域農地よりさらに税額が高い農地になります。
この特定市街化区域農地とは、日本三大都市圏に数えられる東京都・愛知県・大阪府及びその近郊に存在する都道府県にある農地になります。

これらの地域は特に市街化が進んでいる地域として宅地の価格は他県に比べて高く、税負担においても宅地との不均等を是正する意味から、一般市街化区域農地と同じく宅地並みの評価になります。

しかし一般市街化区域農地と違う点は、一般市街化区域農地にはあった軽減措置は特定市街垢区域農地にはない点です。
そのため宅地とほぼ同じ評価額と課税額になり、さらに土地の価格の上昇が他県に比べて早い地域のため、農地なのに異常に高い税額になります。

実際の税額は一般市街化区域農地の2~3倍となり、10アールあたり20万円するものもめずらしくありません。
東京都では30万円をこえることもあります。

これは一般農地の平均は100倍近くにもなり、特定市街化区域農地がいかに高いかが分かるかと思います。

そもそも何故農地の固定資産税は安いのか

特定市街化区域農地を除いた一般農地や一般市街化区域農地では宅地よりも税額が安くなるような措置がされています。
そもそも土地の価値というのは、一般的にその土地から得ることが出来る収益性で判断されます。

そのため人が少ない土地では人が集まりにくく収益性が少ないため安くなっており、東京都などの大都市では人が大勢おり、大きな建物を建てることで多大な周で収益を得ることが出来るので、土地の価値が高くなっているのです。

しかしそれは宅地の話であり、農地になると話は変わっていきます。
農地は所有者が農業として利用することとして、自由に使うことを禁止しています。

さらに農地を買うにも売るにも農業委員会に許可を得なければならないという縛りもあります。
これを行うことにより、農業を行う気がないのに農地を取得しようという人が農地を買うことを防ぐことが出来るのです。

その需要のなさが農地の評価額にマイナスに働くのです。

農地の収益性の低さ

土地の収益性は土地の価格に影響すると述べましたが、農地も例外ではありません。
農地の場合は、その収益性が非常に低いのです。

農産物というのは、ブランド化されていたり、人気のあったり希少だったりする作物でもない限りは、利益というのはあまりありません。
300坪の田畑があったとして、米というのは500kg前後は収穫できます。

しかし農協などの兼ね合いもあるため、非常に安い金額で取引され、年間収益は数十万円程度にしかなりません。
さらにかかる経費などの費用を考えたとしても生産性が高いとはとても言えないでしょう。

このような収益性の低さから、農地を宅地と同じように扱うのはおかしいと考えられ、農地の固定資産税は安くなっているのです。

特定市街化区域農地に関しては宅地に転用できる可能性が高いので、宅地並みの評価額になっていますが、それ以外の農地に関しては農転が出来るか分からない、もしくは農転が不可能というところもあるので、軽減措置があるのです。

農地が抱える税金上の問題

農地は確かに税金上優遇され、評価額も安くなっています。
しかし一般市街化区域農地と特定市街化区域農地に関しては話は別です。

確かに一般市街化区域農地は課税標準額が1/3になるという軽減措置が存在します。
しかし宅地にもある条件を満たせば課税標準額が軽減されることがあるのです。

それは宅地に建物が建った時です。
宅地上に住居などの建物を建てた場合は、200㎡以下の土地なら固定資産税が1/6され都市計画税も1/3となります。
200㎡を超えてしまった場合でも固定資産税は1/3、都市計画税は2/3となります。

つまり軽減措置があるといっても、事実上は宅地と同じかそれ以上の税額を支払うことになるのです。
さらに農地の場合は、実際に営農していなければ軽減措置の対象にならないので、放置されている一般市街化区域農地や特定市街化区域農地に関しては、宅地と比較して最大6倍もの高い税金が課せられてしまうのです。

一般の人ならば、営農などする気はないため、宅地に転用したいと考えるでしょう。
しかしそれで転用できなかった場合は、宅地以上の税金を支払う羽目になり、その費用は年間で数十万円になることもあります。

この、実質宅地よりも高額な農地の課税方法は以前から問題視されていますが、現状では対策がなにもされていません。
遊休農地が増えてきているということで、政府では対策を練ろうと多額の税金を投入していますが、それ以前にこの農地の税金問題を対策しなければ、何も進展はしないでしょう。

まとめ

農地は宅地よりも固定資産税が安いと思っている人の多くは、一般農地などを指しているのでしょう。

しかし一般市街化区域農地や特定市街化区域農地を見ていくと、宅地よりも固定資産税が高いのが分かるかと思います。

さらに軽減措置も営農していることが前提であることを考えると、人々が思っている以上に農地と宅地との税金の差はないのです。
近年では遊休農地が増えてきましたが、これ以上増えていくとただでさえ低い自給率がさらに低くなってくるのは目に見えています。

そのためにも、一般市街化区域農地や特定市街化区域農地の税金の見直しや、それから先の農家の後継者問題などを解決していくべきでしょう。

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