土地活用の中でローコストローリターンのことから、密かな人気の駐車場経営。
ローコストと言っても土地や導入させる設備などによりコストというのは変わっていきます。
ただし、正しい知識をつけておかなければ失敗してしまうことも。
そこで今回は駐車場経営についての解説と、かかる諸費用について解説していきます。
もくじ
駐車場経営の利回りについて

賃貸や駐車場の経営でも利回りというのは非常に重要になってきます。
利回りの計算方法は非常に簡単であり、駐車場の場合は下記のような計算式になります。
(駐車可能台数×月額賃料×12か月)÷初期費用×100%=表面利回り
しかし現実的には、初期費用の他にも費用が発生する可能性もあるので、計算式通りの利回りになるのかは分かりません。
・地域ごとの利回りについて
駐車場経営には土地の価格が非常に重要になってきます。
土地というのはどこも同じ価格ではなく、東京都のような大きな都市と地方では大きな差があります。
土地の価格というのは賃料に影響していくため、地方の田舎では賃料2~3000円の場合もあれば、都心の一等地ならば5万円を超すことも珍しくありません。
2015年のマンション駐車場についての調査によると東京都の平均賃料が25,506円、神奈川県で15,253円、京都府で16,224円、大阪府で15,536円と大きな都市では1万円をおおきく超えています。
対して地方はどうかと言うと、島根県が最も少なく4,028円、鳥取県が4,583円、秋田県で4,750円と一位の東京都の5~6倍以上の差がついています。
もちろん、これはマンション駐車場の調査なので、平置きである月極駐車場の場合は全体的に2割近く高い賃料に設定されています。
それでも都道府県によって、賃料が変わっていきます。
そのため、駐車場として開放する土地の相場を調べ上げなければ、極端に安かったり、極端に高かったりと様々なトラブルが予想されます。
・利回りの稼働率について
駐車場には3つの種類があり、未塗装で最低限のロープ区画にして貸し出す駐車場、アスファルト塗装を行った駐車場、地面をコンクリートに変えた駐車場です。
この中で初期費用が低く、最も利回りが高いのは未塗装の駐車場です。
その利回りは全部賃貸されている前提で考えると、脅威の200%は確実に超えるでしょう。
しかし、未塗装の駐車場というのは、都心では人気がほとんどなく、多くは地方に多く存在するタイプです。
そのため、都心に駐車場に駐車場を設置するなら、基本的にアスファルト塗装かコンクリート塗装のものになります。
コンクリート塗装は利回り50%前後と一番低いですが、コンクリートならでは頑丈さから初期費用を払えば、他の設備などの故障を除いて長期間補修を必要なしで放置することが出来ます。
アスファルト塗装の者は利回り50~90%前後となっており、コンクリートよりも利回りが高く、初期費用も多くはありません。
しかしコンクリートほどは頑丈ではないため、下手をすると1年くらいで傷が付いたり小さな穴などが空くかもしれません。
駐車場経営に重要な稼働率ですが、もしすぐそばに駐車場がある場合、これは価格競争になりかねません。
すぐ近くに二つの駐車場があるのであれば、利用者としては出来るだけ安いほうを選ぶでしょう。
そうなってしまうと、当初予定していた賃料よりも下げることもありえるので、賃料に関しては、かなりシビアに見積もることが大事になってきます。
ランニングコストについて
先程紹介した利回りのことを「表面利回り」といって、初期費用と満車時の賃料収入から計算できる利回りです。
しかし駐車場には初期費用以外にも毎年発生するランニングコストがあり、これを差し引いた利回りのことを「実質利回り」と呼びます。
表面利回りの場合は、満車時の賃料収入で計算していますが、現実では随時満車状態であることはほとんどありません。
1つでも駐車場が空けば稼働率が下がり、収入も下がります。
しかしランニングコストによっては毎年ほぼ固定でかかるものもあり、実質利回りをよく計算しておかなければマイナス収支になる可能性もあります。
そこで今回は駐車場経営にかかるランニングコストについて解説していきます。
・固定資産税

駐車場経営は基本的に自分の持っている土地で行うものです。
そしてその土地には毎年固定資産税が発生し、場所によっては都市計画税も課税されることでしょう。
元々空き地であれば、税金の額はたいして変わりませんが、そこに家を建てていたのであれば話は別です。
土地に家が建っている場合は、固定資産税は1/6、都市計画税は1/3に軽減されるのです。
そのため、家を無くして駐車場にするとなると、固定資産税と都市計画税は一気に上がるのです。
また、賃料収入は地価と連動して高くなるということを前述しましたが、これは必ずしも連動するわけではないため、地価が高い地域ほど実質利回りが下がっていく傾向にあります。
そのため、年間の賃料収入が税額を上回るのが収入になるのですが、地価が高い地域ではそれが難しくなる場合があります。
・事業税、所得税、住民税

駐車場経営も立派な事業として数えられ、事業者として確定申告をしなければなりません。
税額は収益の額次第で違っていきますが、収益が多ければ多いほど引かれる割合が増えていきます。
・管理委託料
これは駐車場の管理を不動産業者などに委託した場合に発生します。
駐車場経営というのは、賃料の回収から駐車場の簡単な清掃、クレームが来た際の対応など意外と忙しい物です。
経営者が普通の社会人ならば、仕事の合間にそれを行わなければならなくなり、非常に忙しくなってしまいます。
そのため、不動産業者などに管理を委託する人が多くいます。
管理委託料はその業者によりますが、大体賃料の5%程度と考えていたほうがいいでしょう。
・補修費
物は必ず壊れ、それはアスファルトやコンクリートの駐車場も例外ではありません。
未塗装であっても、ある程度補修を行う場合があり、塗装された駐車場では塗装の摩耗やヒビ割れが予想されます。
その都度、業者に依頼をして補修してもらうようにしましょう。
駐車場にかかる初期費用
それでは駐車場経営にかかる初期費用について解説していきます。
未塗装の駐車場、アスファルト塗装の駐車場、コンクリート塗装の駐車場によって初期費用が変わっていきますので、参考にしてください。
・未塗装の整地費用

車というのは基本的に1トンを超えるとても重たい物体です。
そのため、地盤を強固にする必要があります。
方法としては土地を平坦に削り取って、その上から砕石を敷き詰めます。
費用としては掘削+残土処分費+砕石実費+敷き詰め+転圧費用の合計金額が、そのまま初期費用となります。
最初に土を削る際は基本的に5~10cmは削り取ることになります。
仮に10cm削ると仮定し、土地の広さ×0.1㎡の残土が発生します。
残土処分費は、大体5000円/㎡程度かかるらしいので、100㎡の土地ならば、約5万円程度と考えられます。
土地を削り取る作業に関しては機械を使用するので、大体2000円/㎡となり、同じく100㎡の土地ならば約2万円程度となります。
次に砕石の価格ですが、これは砕石の種類によって多少変わっていきます。
平均で計算すると3000円/㎡程度となります。
さらに砕石の敷き詰め作業、転圧にかかる作業分の費用が上乗せされ、さらに重機の使用料、移送費、ローラーや作業員の日当を考えると、大体6~7万円程度かかります。
これを踏まえて100㎡の土地で計算すると、
5万円+2万円+3万円+6~7万円=16~17万円
となります。
これは一日で作業が終わることを前提として計算しており、土地や作業日数によって高くなる可能性があります。
・アスファルト塗装

アスファルト塗装の場合は塗装するアスファルトを5cm程度の厚さにすることが多いようです。
未塗装の整地の場合と同じように土地を削り取り、砕石をならして、その上から塗装します。
そのため、削り取る深さは未塗装と同じく10cm程度+アスファルトの5cmの合計15cm程度削ることになります。
そのため、掘削費用は未塗装よりも多くなります。
アスファルト塗装の施行費用は整地と合わせた見積もりで4000~5000円/㎡あたりが相場と言われています。
仮に整地+アスファルト塗装を4500円として、同じく100㎡の土地で計算してみましょう。
4500円/㎡×100㎡=450,000円
このようになります。
・コンクリート塗装

コンクリート塗装もアスファルトと同様、土を削り砕石を敷き詰め、転圧を行います。
コンクリート塗装はアスファルトよりもさらに厚く10cm程度となっており、掘削が20cm必要となってきます。
コンクリートというのは収縮することでひびが入る性質を持っているため、広い駐車場の差異は適度な感覚で収縮を吸収するスリットを作り、ワイヤーメッシュなどの補強材を入れる必要があります。
そのため、整地込みで5000~10,000円/㎡程度の費用がかかります。
・ライン引きと車止め

アスファルト塗装やコンクリート塗装の場合は、未塗装とは違い、停車区画のライン引きと車止めが必要になってきます。
ライン引きは駐車10台程度分で約50,000万円前後になりますが、これは縦にラインを引くだけなのか、枠として囲うのかによって料金が増減します。
車止めについては1個3000円程度で、1台分には2つ必要になるので1台6000円程度になります。
台数が大きくなってくると、業者がある程度割り引きしてくれる可能性があるので、これも価格が前後します。
・歩道の切り下げについて
新しく道路との出入り口を作る際の歩道を切り下げて侵入可能にする工事も必要になる場合があります。
ブロックやスロープを設置するケースが多いようです。
この切り下げ工事というのは、自治体への連絡が必要となっており、価格も30万円をこえることから、手間と費用がかかる作業になります。
まとめ

駐車場経営はローコストローリターンと言われていますが、それは立地に大きく左右されるものです。
特に、田舎のほうでは車社会が当たり前のため、アパートやマンション、戸建てなどにはほぼ確実に駐車場があるため、駐車場経営が上手くいかないケースが多くあります。
それでも土地を放置しておくよりは、何かしら活用したほうがいいため、少ないコストと運用のしやすさという点で、お勧めできる活用方法であることは変わりありません。

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